Pioneer F-777

Pioneer F-777 が到着

2009年4月23日、 Pioneer F-777 故障品が送られてきました。

普段は修理を固くお断りしているのですが、F-777 は触ってみたい機種だったので、特別に受け付けました。

  1. 外観は綺麗

  2. FM の動作状況

  3. AM の動作状況

  4. 修理依頼者はヤフオクで 19,980円で落札されたそうです



カバーを開けてみました

  1. 内部の作りは良いですが、点検用裏蓋がなく部品量が多い大きな基板なので、メンテナンス性は非常に悪いです。 部品交換は大仕事になります。 これだから、私はパイオニアのチューナーは好みではないのです。(全てではありませんが。) 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. FM 受信部

  3. AM 受信部

  4. PLL 部は SONY CXA7025B を使ったダレクトコンパレータ方式です。

  5. 全体のコントロールは MPU の Pioneer PD5187A が行います。

  6. 使用 IC のロット番号より、この F-777 は1995年製と判明しました。 電源ケーブルの製造マーキングも1995年でした。



修理

  1. 受信レベルが全く出ない原因はクォードラチュア・ディスクリ IFT の経年変化による調整ズレでした

  2. 次項の「調整」にて全体に再調整して全て良好になりました。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. FM 同調点の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-777 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    MPX NR : OFF
    SSS : OFF
    MPX MODE : MONO
    RF ATT : OFF
    - -  
    2 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 90dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    T201 フロント側コア TP201〜TP202 間電圧 = 0V ±100mV なら良い

  2. FM フロントエンドの調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-777 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    MPX NR : OFF
    SSS : OFF
    MPX MODE : MONO
    RF ATT : OFF
    - -  
    2 - - 90MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    L18 TP1 電圧 = 21.5V VT high
    3 - - 76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    - TP1 電圧 = 6.9V VT low (確認のみ)
    4 76MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    L1
    T1
    T2
    TP210 電圧 = 最大  
    5 90MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    90MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    TC1
    TC2
    TC3
    TP210 電圧 = 最大  
    6 - - - - 手順4と5を数回繰り返す RF トラッキング調整

  3. IF 部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-777 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    MPX NR : OFF
    SSS : OFF
    MPX MODE : MONO
    RF ATT : OFF
    - -  
    2 76MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    76MHz 受信
    IF BAND : SUPER NARROW
    T3
    T101
    T102
    T103
    T104
    TP210 電圧 = 最大  

  4. FM クォードラチュア検波部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-777 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    MPX NR : OFF
    SSS : OFF
    MPX MODE : MONO
    RF ATT : OFF
    - -  
    2 76MHz 変調 : MONO
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    T201 リア側コア
    VR201
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 WaveSpectraで観測
    3 76MHz 変調 : MONO
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    T201 フロント側コア TP201〜TP202 間電圧 = 0V ±100mV なら良い
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す  

  5. FM MPX 部、歪補正部、MPX NR 部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-777 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    MPX NR : OFF
    SSS : OFF
    MPX MODE : AUTO
    RF ATT : OFF
    - -  
    2 76MHz Pilot 信号 : OFF
    変調 : MONO
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR205 TP203 出力 (AC) = 最小 SUB balanace 調整
    3 76MHz Pilot 信号 : OFF
    変調 : OFF
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR601 TP7 = 38kHz ±100Hz VCO 調整
    4 76MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR602 オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセル調整
    WaveSpectraで観測
    5 76MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L-ONLY
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR203 オーディオ出力 = 2次高調波最小 ステレオ歪率調整:NORMAL
    WaveSpectraで観測
    6 76MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L-ONLY
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : SUPER NARROW
    VR204 オーディオ出力 = 2次高調波最小 ステレオ歪率調整:SUPER NARROW
    WaveSpectraで観測
    7 76MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L-ONLY
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR209 オーディオ出力 = 3次高調波最小 ステレオ歪率調整:NORMAL
    WaveSpectraで観測
    8 76MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L-ONLY
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : SUPER NARROW
    VR210 オーディオ出力 = 3次高調波最小 ステレオ歪率調整:SUPER NARROW
    WaveSpectraで観測
    9 76MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : R-ONLY
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR206 L-ch オーディオ出力 = 最小 セパレーション調整 (R→L)
    WaveSpectraで観測
    10 76MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L-ONLY
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR207 R-ch オーディオ出力 = 最小 セパレーション調整 (L→R)
    WaveSpectraで観測
    11 76MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : STEREO
    出力 : 90dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    MPX NR : ON
    VR301 VR301 を時計方向一杯に回し切った後
     セパレーション = 20dB
    に調整する
    MPX NR 調整
    WaveSpectraで観測

  6. S メータの調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-777 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    MPX NR : OFF
    SSS : OFF
    MPX MODE : MONO
    RF ATT : OFF
    - -  
    2 83MHz 変調 : MONO
    出力 : 45dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR202 S メータ = 45dB S メータ調整
    3 83MHz 変調 : MONO
    出力 : 75dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR101 S メータ = 75dB S メータ調整

  7. AM 部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-777 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : AM
    MPX NR : OFF
    SSS : OFF
    MPX MODE : AUTO
    IF BAND : NORMAL
    - -  
    2 - - 522kHz 受信 L501 TP1 電圧 = 2.0V VT low
    3 - - 1629kHz 受信 TC502 TP1 電圧 = 13.8V VT high
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す VT トラッキング調整
    5 603kHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    603kHz 受信 T501 TP501 電圧 = 最大  
    6 1395kHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    1395kHz 受信 TC501 TP501 電圧 = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    8 999kHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    999kHz 受信 T502 TP501 電圧 = 最大 IF 調整

  8. 再調整結果は以下です

    項目 IF BAND L R 単位
    ステレオセパレーション NORMAL 57 57 dB
    ステレオセパレーション SUPER NARROW 31 31 dB
    パイロット信号キャリアリーク - -67 -67 dB
    オーディオ出力レベル偏差 (MONO) - 0 -0.07 dB



使ってみました

  1. スリムデザインです

  2. 不思議なことに ・・・

  3. FM 受信

  4. AM 受信

  5. 同じ定価55,000円の SONY ST-SA5ES と比較すると、「高級感」「受信性能」「音質」の面で F-777 が負けます。 AM 受信性能は F-777 が勝ちます。



仕様