Pioneer F-D7

Pioneer F-D7 をゲット!

2008年12月31日、埼玉春日部在住の S さんより Pioneer F-D7 を寄贈いただきました。

PLL シンセサイザー FM/AM チューナーで、1979年発売開始モデルです。

早速、状態チェックしました。



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは、1979年製としてはなかなかシッカリしています。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. 電源トランスの容量に余裕があり、発熱が少ないです。 密閉された内部の温度上昇で起こる性能低下を防げます。

  3. FM フロントエンド部は4連バリキャップ方式です。 [シングル同調]→[Dual Gate FET]→[ダブル同調]→[TR ミクサ]←[OSC同調 (TR)] の構成です。

  4. FM IF 部は [UP-CF]→[HA1201]→[UP-CF]→[PA3001A] の構成です。

  5. FM 検波部は PA3001A によるクォードラチュア検波です。 PA3001 は Hitachi HA11225 とコンパチです。

  6. FM MPX 部は PA1001A による PLL MPX です。 パイロットキャンセラー回路も組み込まれています。

  7. AM 受信部は [日立 HA1138] (マーキングは Pioneer HA1138 ですが。) で全てを行っています。 2連バリキャップのフロントエンド構成ですが、RF 同調回路を一旦 FET でバッファしています。 Pioneer のチューナーが他社のチューナーより AM の感度が良いのは、この FET バッファのおかげです。

  8. AF 増幅部は PA1002A を使用しています。 ここで MUTING 動作も行います。

  9. MPU は [東芝 TC9124AP] です。 この MPU とプリスケーラ [東芝 TD6102P] とプログラマブルデバイダ [東芝 TC9123P] の3個で PLL 回路を構成します。 周波数プリセットメモリは MPU に内蔵されています。

  10. 7セグメントデコーダ [東芝 TC5022BP] と7ライン高電圧バッファ [東芝 TC5066BP]×2個で FL 管の周波数表示などを行います。

  11. 使用 IC のロット番号より、この F-D7 は1979年製と判明しました。 電源ケーブルの製造マーキングも1979年となっていました。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. FM 同調点のプリ調整

  2. FM フロントエンド部の調整

  3. FM クォードラチュア検波部の調整

  4. FM MPX 部の調整

  5. 各種信号レベルの調整

  6. AM 受信部の調整

  7. 調整結果

    1. 全体的にかなり調整ズレしていました。 再調整にて感度と音質が大幅に向上しました。

    2. REC LEVEL CHECK 信号の周波数の実測値は 351.6Hz でした。

    3. 調整後の FM スペック実測値は以下です。 30年前の機種でクォードラチュア検波ということで全然期待していなかったのですが、意外と高性能です ・・・ 驚きました。 これらの数値だけ見ると高級機レベルです。 定価の49,800円は伊達じゃない。

      No. 項 目 L R 単位
      1 ステレオセパレーション (1kHz) 70 75 dB
      2 パイロット信号キャリアリーク -75 -71 dB
      3 高調波歪率 (MONO, 1kHz, 100% 変調) 0.007 0.007 %
      4 高調波歪率 (STEREO, 1kHz, 100% 変調) 0.01 0.01 %
      5 オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 -0.05 dB



使ってみました

  1. 筐体など

  2. フロントパネル

  3. リアパネル

  4. 評価



レベルメータ



仕様