TRIO KT-8300

TRIO KT-8300 をゲット!

2009年5月28日、 TRIO KT-8300 の完全ジャンクをいただきました。

FM 専用機でパルスカウント検波搭載です。



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています。

    メーカ IC 機能
    HITACHI HA1137W FM IF System
    HA1457 High Voltage Low Noise Preamplifier
    HA11223W FM PLL Stereo Demodulator with Pilot Cancel
    NS MC1496N Blanced modulator/demodulator
    SANYO LA1222 FM IF Amplifier
    TOSHIBA TA7060P FM IF Amplifier
    TRIO-KENWOOD TR4010A Pulse Count Detector

  3. FM フロントエンド

  4. IF 部

  5. パルスカウント検波部

  6. MPX 部は [HA11223W] で構成します。 パイロット信号キャンセラー回路があります。

  7. 使用 IC のロット番号より、この KT-8300 は1979年製と判明しました。 電源ケーブルのマーキングも1979年でした。



修理



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 電圧チェック

    手順 TP 及び調整値 備考
    1 [Q19-E] = 標準値 14V 実測値 14.21V

  2. FM 受信部の調整

    • フロントエンドのトラッキング調整は2点法ができる構成ですが、カバーがハンダ付けされており、コイルを触れる状態にできません。 そこで1点法で調整することにしました。

    • アナログチューナーはシンセサイザーチューナーと違って IF 周波数をピッタリ 10.7MHz に合わせるのが難しいです。

      1. そこで今回初めての試みとして、SSG にて 10.7MHz を発生させ、これを直接 IF 部に送り込んでみました。

      2. まず、これで T メータをピッタリ 10.7MHz に合わせ、これを基準にフロントエンドを調整しました。

      3. 結果は満足できる調整ができました。 歪率最小になる 10.7MHz ピッタリに IF 系を調整できます。 今後はアナログチューナーではこの方法が良さそうです。

    手順 SSG周波数 SSG出力 KT-8300 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - MPX FILTER : OFF
    MODE : MONO
    MUTING : OFF
    LOCK : OFF
    - -  
    2 10.7MHz 90dB
    変調 : OFF
    IF BAND : NARROW T2 T メータ = センター (0V) FM 同調点調整
    10.7MHz を直接 IF 部に注入
    (R2 フロント側に注入)
    3 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    フロントエンド
    OSC トリマ
    T メータ = センター (0V) OSC 調整
    4 83MHz 30dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    バリコンの
    RF トリマ×4個
    S メータ = 最大 RF 調整
    5 83MHz 30dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    フロントエンド IFT
    T1
    S メータ = 最大 IF 調整
    6 83MHz 40dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE/NARROW
    VR1 S メータ = WIDE/NARROW で同一 IF WIDE ゲイン調整
    7 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    T3 R91 (1kΩ) 右側周波数 = 1.96MHz ダウンコンバート周波数調整
    周波数カウンタで測定
    8 83MHz 15dB
    変調 : MONO 400Hz
    83MHz 受信
    MUTING : ON
    IF BAND : WIDE
    VR2 オーディオ出力 = ちょうど MUTING 解除 MUTING 調整
    9 83MHz 60dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    MUTING : OFF
    IF BAND : WIDE
    VR4 S メータ = 4.6 S メータ調整
    10 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    LOCK : ON
    IF BAND : WIDE
    VR10 T メータ = センター (0V) LOCK OFFSET 調整

  3. MPX 部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 KT-8300 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - MPX FILTER : OFF
    MODE : AUTO
    MUTING : ON
    LOCK : ON
    - -  
    2 83MHz - - VR5 R9 (6.8kΩ) フロント側周波数 = 76kHz±200Hz VCO フリーラン周波数調整
    周波数カウンタで測定
    3 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    VR6 オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセル調整
    4 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : STEREO 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    フロントエンド IFT
    T1
    オーディオ出力 = 高調波歪率最小 IF 歪調整
    ±90度の範囲で調整
    5 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R ch. only 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    VR7 L ch. オーディオ出力電圧 = 最小 WIDE セパレーション調整 (L)
    6 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : L ch. only 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    VR8 R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 WIDE セパレーション調整 (R)
    7 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    VR9 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 NARROW セパレーション調整

  4. 調整結果

    1. FM フロントエンドでトラッキングのズレがあり、再調整で感度アップしました。

    2. 2nd IF 周波数を 1.96MHz に調整不可でした。

      • どうやっても 2.6MHz にするのが精一杯でした。 2nd IF 周波数を高いほうから 1.92MHz 方向に合わしていくと、突然、周波数が消滅します。

      • おそらく、MC1496N そのものの劣化と思います。 T3 内コンデンサの容量抜けは考え難い。

      • パルスカウント検波の原理上、この周波数がズレても(かなり正常に)動作します。 従って、(面倒なので)修理しませんでした。

    3. FM ステレオセパレーションは、2の要因からか上位機種に似合わない低い結果となりました。 これでも、1975年までのチューナーの性能よりは良いです。

      項目 IF BAND L R 単位
      ステレオセパレーション WIDE 38 38 dB
      ステレオセパレーション NARROW 38 38 dB
      パイロット信号キャリアリーク - -75 -73 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (MONO) - 0 +0.5 dB



使ってみました

  1. デザインは良いが、ともかくデカイ

  2. 機能関連

  3. 受信性能&音質



S メータ



仕様&その他