TRIO KT-900

TRIO KT-900 がやってきた!

2009年11月25日、 TRIO KT-900 の修理依頼品が送られてきました。

デザインが優れたパルスカウント検波バリコン式チューナーです。 さてさて直るかな???



程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています。

    メーカ IC 機能
    HITACHI HA1197 AM Radio Receiver System
    HA12016 FM Stereo Multiplex Decoder
    NEC uPC1163H FM IF Amplifier
    Panasonic AN6551 Dual Operational Amplifier
    AN6877 7-Dot LED Driver Circuits
    TRIO-KENWOOD TR4011 Pulse Count Detector
    TR7020 Quadrature Detector & IF Down Convert

  3. FM フロントエンドは以下の構成で、4連バリコンです。

  4. FM IF 部は以下の構成です。 WIDE 側にゲイン調節ボリュームがあります。

  5. FM パルスカウント検波部 ・・・ 第3世代パルスカウント検波 の構成です。

  6. MPX 部は [HA12016] を使った PLL MPX です

  7. AM 部のフロントエンドは2連バリコンです。 [HA1197] で全てを構成します。



修理



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 電圧チェック

    手順 TP 及び調整値 備考
    1 [Q26-E] = 標準値 +13V 実測値 +13.25V
    2 [Q25-E] = 標準値 +6V 実測値 +6.01V

  2. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 KT-900 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - SELECTOR : FM
    REC CAL : OFF
    LOCK : OFF
    MODE : MONO
    - -  
    2 10.7MHz 90dB
    変調 : OFF
    IF BAND : NARROW L4 IC2 (TR7020) 3〜11pin 間電圧 = 0V FM 同調点調整
    R37左〜R184右間でもよい
    (注1)
    3 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    FM フロントエンド
    OSC トリマ
    IC2 (TR7020) 3〜11pin 間電圧 = 0V OSC 調整
    37左〜R184右間でもよい
    4 83MHz 30dB
    変調 : MONO 400Hz
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    FM バリコン
    RF トリマ×3
    IC6 (AN6877) 1pin 電圧 = 最大 RF 調整
    (注2)
    5 83MHz 30dB
    変調 : MONO 400Hz
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    FM フロントエンド
    IFT
    IC6 (AN6877) 1pin 電圧 = 最大 IF 調整
    6 83MHz 40dB
    変調 : MONO 400Hz
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE/NARROW
    VR1 IC6 (AN6877) 1pin 電圧
     = WIDE/NARROW で同一
    IF WIDE ゲイン調整
    7 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    L5 IC4 (TR4011) 1pin 周波数 = 1.96MHz ダウンコンバート周波数調整
    周波数カウンタで測定
    8 83MHz 90dB
    変調 : MONO 400Hz (100%)
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    - オーディオ出力電圧 = レベルを記録  
    9 - - FM REC CAL : ON VR2 オーディオ出力電圧 = 手順8の1/2 (-6dB) REC CAL 調整

    • (注1) 手順2の FM 同調点調整では 10.7MHz IF 周波数を SSG で発生させ、直接 IF 部に注入します。 CF1 一番右に注入します。

    • (注2) 手順4の RF 調整は再調整ということで1ポイント法でやっています。 空芯コイルなので完全なインダクタンス調整が難しいのです。

  3. MPX 部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 KT-900 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - SELECTOR : FM
    REC CAL : OFF
    LOCK : ON
    MODE : AUTO
    - -  
    2 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : STEREO 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    FM フロントエンド
    IFT
    オーディオ出力 = 高調波歪率最小 IF 歪調整
    ±90度の範囲で調整
    3 83MHz - 83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    VR5 IC5 (HA12016) 16pin 周波数 = 76kHz±200Hz VCO フリーラン周波数調整
    周波数カウンタで測定
    4 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    VR4 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 NARROW セパレーション調整
    (注3)
    5 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    VR3 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 WIDE セパレーション調整
    (注3)

    • (注3) 手順4 と 手順5 の順番を逆にしないこと。 VR4 は WIDE/NARROW 両方に有効で、VR3 は WIDE だけに有効です。

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 KT-900 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - SELECTOR : AM - -  
    2 600kHz 60dB 600kHz 受信 L12 IC6 (AN6877) 1pin 電圧 = 最大  
    3 1400kHz 60dB 1400kHz 受信 TC2 IC6 (AN6877) 1pin 電圧 = 最大  
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 600kHz 40dB 600kHz 受信 L11 IC6 (AN6877) 1pin 電圧 = 最大  
    6 1400kHz 40dB 1400kHz 受信 TC1 IC6 (AN6877) 1pin 電圧 = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整

  5. 調整結果

    1. FM はあちこちズレまくっていました。

    2. FM ステレオセパレーションは 以下となりました。 良好な数値です。

      項目 IF BAND L R 単位
      ステレオセパレーション WIDE 50 51 dB
      ステレオセパレーション NARROW 48 50 dB
      パイロット信号キャリアリーク WIDE -64 -66 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (MONO) WIDE 0 -0.14 dB
      REC CAL 信号 - -6.00
      457.0
      -6.14
      457.0
      dB
      Hz

    3. FM OSC 調整はトリマコンデンサでしか出来なかったので、83MHz で目盛にピッタリ合わせました。 従って、83MHz 以外では以下のように若干目盛とズレがありますが、この程度は仕様内と思います。

      受信周波数 (MHz) 目盛 (MHz) 偏差 (MHz)
      76.0 75.9 −0.1
      83.0 83.0 ±0.0
      90.0 90.2 +0.2



使ってみました

  1. デザインが優れた薄型チューナーです

  2. 機能関連

  3. 感度や音質



仕様&その他