KENWOOD KT-929

KENWOOD KT-929 をゲット!

2008年4月5日、私のチューナーページのファンから KENWOOD KT-929 の寄贈を受けました。

ほとんど話題にされない超マイナーな機種ですが、その実力はいかに???



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは大変良いです。 部品の配置が良く、綺麗に整然と並んでいます。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. 別基板の電源基板は、KENWOOD としては珍しく縦配置されています。 電源スイッチはこの基板に実装してフロントパネルにネジ止めし、冗長な機構部がないので、むしろこのほうが良いと思います。 電源トランスは並クラスです。

  3. チューニングツマミはアルミ削り出しで、かつ、フライホイールも装着されています。 マトモです。

  4. 底板に点検蓋を装備しており、メンテナンス性が良い作りです。

  5. 回路構成からは KT-3030 系です。 基本回路構成は KT-1010F より少し良い感じです。 特にフロントエンドは KT-929 のほうが良く、部品投入量も多いです。 KT-1010F は D-3300T 系です。

  6. 発表されているスペックを KT-1010F と比べても KT-929 のほうが良いです。 KT-929 は KT-1010F の NARROW モードだけのような構成ですが NARROW モードで比べると圧勝、WIDE モードで比べても各種妨害比・各種抑圧比・ステレオセパレーションなど勝っている項目が多いです。 よって、KT-929 のほうが回路構成のグレードが高いことになります。

    以上より実際の性能や音質が期待できます!

  7. FM フロントエンド部は5連バリキャップ方式です。 同調回路はトラッキング調整できる構成です。 (KT-1010F はトラッキング調整できず、RF コイルもプアなエナメル巻線です。) [RF 同調]→[Dual Gate MOS FET]→[RF ダブル同調]→[Dual Gate MOS FET Mixer]←[OSC Buffer 同調]←[OSC 同調] の構成です。 各ブロックはしっかりシールドされています。

  8. FM IF 部は [UP CF]→[IF amp.]→[UP CF]→[IF amp.]→[UP CF]→[IF amp.]→[UP CF]→[IF amp.] の構成で、しっかり作られています。 IF アンプはディスクリート構成で、部品投入量は多いですが非常に素直なシンプルストレート構成です。

  9. FM シグナルレベルメータ回路は IF 段の各段の IF アンプから抽出している本格的な構成です。 このため、シグナルレベルメータの表示の増減は滑らかで信頼できます。 5段階の表示しかありませんがマトモです。

  10. FM 検波部は PLL 検波 (DLLD) です。 PLL 検波は簡単な構成で良い特性が出ます。

  11. KENWOOD お家芸の IF 歪を補正する DCC 回路が組み込まれています。

  12. MPX 部は HITACHI HA11223 を使った PLL MPX です。 パイロット信号キャンセラー回路が組み込まれています。

  13. AM 部は SANYO LA1245 でフロントエンド、IF アンプ、検波など全ての機能を担当します。 2連バリキャップ方式で同調回路はトラッキング調整できる構成です。

  14. 使用 IC のロット番号より1983年製と判明しました。 電源ケーブルの製造マーキングも1983年でした。 ただし、取扱説明書には「1984年印刷」とあったので、1984年初頭の製品と思われます。 チューナー本体には「KENWOOD」と表示されていますが、取扱説明書は「トリオ」となっています。 TRiO → KENWOOD 移行狭間の製品のようです。



修理&クリーニング

  1. 操作ボタンのチャタリング対策
    フロントパネルを分解して、タクトスイッチを交換しました。 また、ボタンを押す際に若干引っ掛かりを感じたので、ボタン機構部にほんの少しグリス塗布してスムーズに操作できるようにしました。

  2. 蛍光表示器周りの曇り(塵埃)対策
    フロントパネルの分解掃除で完全に直りました。 クッキリ&ハッキリと表示が見えるようになりました。

  3. 端子類のサビ対策
    端子をマイクロ研磨してピカピカになりました。 特に F 端子で接触抵抗が大きくなっており、これが原因で感度低下していましたが、完全に直りました。

  4. フロントパネルのキズ対策
    黒のタッチペンで補修して目立たなくなりました。

  5. その他
    全体を OA クリーナ、無水アルコール、ZIPPO オイルを駆使してクリーニングしました。 丹念にクリーニングした結果、フロントパネルに輝きが戻りました。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. FM FRONT END の調整

  2. FM PLL 検波の調整

  3. FM MPX の調整

  4. DCC の調整

  5. FM その他の調整

  6. AM FRONT END の調整

  7. AM IF の調整

  8. 再調整結果



使ってみました



レベルメータ



仕様