TRiO KT-990

TRiO KT-990 がやってきた!

2015年11月3日、豊橋市のKさんから TRiO KT-990 の再調整依頼品が届きました。 しばらく多忙で手が付けられませんでしたが、やっと2015年12月13日に調整完了しました。

デザインが優れたパルスカウント検波バリコン式チューナーです。

本機の製造シリアル番号は [30402863] です。



程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています。

    メーカ IC 機能
    NEC uPC1163H FM IF Amplifier
    uPC1223C FM Multiplex Stereo Demodulator
    Panasonic AN6135 Hi-Fi Pop-Noise Canceller Circuit
    AN6555 Low Noise Dual Operational Amplifier
    AN6877 7-Dot LED Driver Circuits
    SANYO LA1245 AM Electronic Tuner
    TRIO-KENWOOD TR4011 Pulse Count Detector
    TR7020 Quadrature Detector & IF Down Convert

  3. FM フロントエンドは以下の構成で、4連バリコンです。

  4. FM IF 部は以下の構成です。 WIDE 側にゲイン調節ボリューム (VR1) があります。

  5. FM パルスカウント検波部 ・・・ 第3世代パルスカウント検波 の構成です。

  6. MPX 部は [uPC1223C] を使った PLL MPX です

  7. AM 部のフロントエンドは2連バリコンです。 [LA1245] で全てを構成します。



修理

  1. FM 受信で -0.2〜-0.1MHz 程度の周波数ズレがある

  2. バリコンの真鍮の軸や金具に緑青のサビが出ている



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    FM/AM
    区分
    種別 調整ポイント 調整内容
    FM L T1, T2, T3 RF
    TC TC1, TC2, TC3
    L T4 OSC
    TC TC4
    IFT L1 IF
    IFT L2 IF (WIDE)
    IFT L4 QR 同調点
    IFT L5 QR
    IFT L6 1.96MHz
    VR VR1 WIDE GAIN
    VR VR2 REC CAL
    VR VR3 NARROW SEPA
    VR VR4 WIDE SEPA R
    VR VR5 WIDE SEPA L
    VR VR6 PILOT CANCEL
    VR VR7 VCO
    LPF L14 38kHz LPF
    AM L L10 RF
    TC CT1
    L L12 OSC
    TC CT2
    IFT L11 IF

  2. 電圧チェック

    TP 標準値 実測値
    J151 +14V +13.93V

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 KT-990 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - REC CAL : OFF
    LOCK : OFF
    MODE : MONO
    IF BAND : WIDE
    SELECTOR : FM
    - -  
    2 10.675MHz 90dB
    変調 : OFF
    SSG 出力を (a) に注入 L4 TP1〜TP2 間電圧 = 0V FM 同調点調整
    CF にはランク B が使われている
    ので 10.675MHz とする
    3 83MHz 83MHz 受信 TC4 OSC 調整
    4 30dB
    変調 : OFF
    TC1, TC2, TC3 TP4 電圧 = 最大 RF 調整
    5 L1, L2 IF 調整
    6 40dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    - TP4 電圧を記録 IF WIDE ゲイン調整
    7 83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    VR1 TP4 電圧 = 手順6と同一
    8 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 L6 TR4011 1pin 周波数 = 1.96MHz ダウンコンバート周波数調整
    周波数カウンタで測定
    9 90dB
    変調 : MONO 400Hz (100%)
    - オーディオ出力 = レベルを記録 REC CAL 調整
    10 REC CAL : ON VR2 オーディオ出力 = 手順9の1/2
    11 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : STEREO 1kHz
    83MHz 受信
    REC CAL : OFF
    MODE : AUTO
    L1 オーディオ出力 = 高調波歪率最小 IF 歪調整
    ±90度の範囲で調整
    12 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    83MHz 受信 VR7 VR7 を一旦反時計方向に回し切り
    徐々に時計方向に回し STEREO
    ランプが点灯する位置を記録・・・(1)
    VR7 を一旦時計方向に回し切り
    徐々に反時計方向に回し STEREO
    ランプが点灯する位置を記録・・・(2)
    VR7 を(1)と(2)の中間に設定する
    MPX VCO 調整
    13 VR6 オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロット・キャンセル調整
    14 L14 左コア L ch. オーディオ出力 = 38kHz 成分最小 LPF 調整
    15 L14 右コア R ch. オーディオ出力 = 38kHz 成分最小
    16 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R ch. only 1kHz
    VR5 L ch. オーディオ出力 = 最小 WIDE セパレーション調整 (L)
    17 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : L ch. only 1kHz
    VR4 R ch. オーディオ出力 = 最小 WIDE セパレーション調整 (R)
    18 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    VR3 L/R ch. オーディオ出力 = 最小 NARROW セパレーション調整

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 KT-990 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - SELECTOR : AM - -  
    2 600kHz 60dB 600kHz 受信 L12 TP4 電圧 = 最大 OSC トラッキング調整
    3 1400kHz 1400kHz 受信 CT2
    4 手順2と3を数回繰り返す
    5 600kHz 40dB 600kHz 受信 L10 TP4 電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    6 1400kHz 1400kHz 受信 CT1
    7 手順5と6を数回繰り返す
    8 1000kHz 40dB 1000kHz 受信 L11 TP4 電圧 = 最大 IF 調整

  5. 調整結果

    項目 IF BAND L R 単位
    ステレオセパレーション WIDE 65 65 dB
    ステレオセパレーション NARROW 58 61 dB
    パイロット信号キャリアリーク WIDE -53 -54 dB
    オーディオ出力レベル偏差 (MONO) WIDE 0 +0.12 dB
    REC CAL 信号 WIDE -6.79 -6.80 dB
    421.9 Hz



使ってみました

  1. デザインが優れた薄型チューナーです

  2. 機能関連

  3. 感度や音質



仕様