SONY ST-636

SONY ST-636 をゲット!

2014年1月11日、 巨大ディスプレイが素晴らしい! SONY ST-636 の中古が税込1,000円でした。

FM/AM PROGRAM TUNER ST-x3x シリーズの最上位機種です。



ST-636 について



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 電源 ON してチェック



カバーを開けてみました

  1. 投入物量が凄まじい基板構成です。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. FM フロントエンド

  3. FM IF 部

  4. FM 検波部

  5. FM MPX 部

  6. AM 受信部



リペア

  1. プリセットが20分程度しか保持されない

  2. 操作ボタン等が全く効かない状態が発生する

  3. AM 受信で高い周波数 (1000kHz 以上) の放送局が全く受信できず、受信できる放送に大きな雑音が入る。

    1. 調査すると、高い周波数に同調しても VT 電圧が 7.8V 以上に上がらないことが確認できました。

      • ここの電圧は 1〜23V で変化する必要があります。

      • 高い電圧は高い周波数受信時に必要となります。

      • これが「高い周波数 (1000kHz 以上) の放送局が全く受信できない」直接原因です。

    2. 下の回路図は AM の VT 電圧増幅部です。



      • VT 電圧は Q504 のコレクタから出ます。 VT 電圧用電源電圧 (R517 4.7kΩの上側) は 32.4V あって正常です。

      • となると、この VT 電圧増幅部のどこかの部品が故障していることになります。

      • この回路で使われている部品を、しらみつぶしにテスタであたり、良否を判定しました。

      • 結果、[C511 1uF/35V] のタンタルコンデンサが不良でした。

      • 800Ω 程度の導通となっており(内部レアショート)、コンデンサの役目を放棄して抵抗器に変身していました。 これが真の原因です。

    3. C511 を 1uF/50V の普通の電解コンデンサに交換したところ、完全に直りました!!!

      • 右の写真は故障していたタンタルコンデンサです。 米粒くらいの極小です。

      • 雑音の発生源もこのタンタルコンデンサで間違いありません。 こいつが ST-636 に悪さをしていたのです。

      • タンタルコンデンサでなく、普通の電解コンデンサでも大丈夫です。 大抵のチューナは電解コンデンサ使用ですから。

  4. 以上で全ての不良が直り、35年ビンテージ品として蘇りました。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント (一部)



  2. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 表示値 実測値 判定 備考
    Q807-E +15V +15.7V チューナ, AF
    Q808-E +8V +8.0V PLL
    Q805-E +30V +32.4V VT 電源
    Q801-E -9V -9.8V FL 表示
    Q804-E +39V +39.2V
    Q806-E +19V +19.3V
    Q809-E +5.8V +5.9V

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 ST-636 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - MODE : STEREO
    FUNCTION : FM
    - -  
    2 - 76MHz 受信 フロントエンド
    OSC コイル
    J99 電圧 = 3±0.2V OSC トラッキング調整
    3 - 90MHz 受信 フロントエンド
    OSC トリマ
    J99 電圧 = 21±0.5V
    4 手順2と3を数回繰り返す
    5 83MHz
    30dB
    無変調
    83MHz 受信 フロントエンド
    RF トリマ×3
    IFT
    [Counter] ボード
    RV701 電圧 = 最大
    RF トラッキング調整
    IF 調整
    6 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    IFT201 黒コア オーディオ出力 = 高調波歪最小 QR 検波調整
    7 IFT201 橙コア R220 両端電圧 = 0±1mV
    8 手順6と7を数回繰り返す
    9 83MHz
    25dB
    無変調
    83MHz 受信 RV201 IC301-14pin = 2.2±0.1V MUTING レベル調整
    10 83MHz
    60dB
    無変調
    [Counter] ボード
    RV701
    S メータ = フル S メータ調整
    11 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L+R
    RV301 STEREO ランプ点灯範囲の
    中間点に設定
    VCO 調整
    12 フロントエンド
    IFT
    オーディオ出力 = 高調波歪率最小 IF 歪補正
    13 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R/L
    RV302 L/R ch. オーディオ出力 = 最小 セパレーション調整

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 ST-636 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUNCTION : AM - -  
    2 - 522kHz 受信 T251 J98 電圧 = 1.2±0.2V OSC トラッキング調整
    3 - 1610kHz 受信 CT251 J98 電圧 = 23±0.5V
    4 手順2と3を数回繰り返す
    5 600kHz
    40dB
    1kHz
    600kHz 受信 バーアンテナのコア オーディオ出力 = 最大 RF トラッキング調整
    6 1400kHz
    40dB
    1kHz
    1400kHz 受信 CT252
    7 手順5と6を数回繰り返す
    8 1000kHz
    40dB
    1kHz
    1000kHz 受信 IFT202
    IFT203
    オーディオ出力 = 最大 IF 調整
    9 T401 D402 カソード電圧 = 最大 Auto Stop 調整

  5. 調整結果

    項目 L R 単位
    ステレオセパレーション 44 44 dB
    パイロット信号キャリアリーク -77 -71 dB
    オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 +0.43 dB



使ってみました

  1. 巨大ディスプレイ が素晴らしい



  2. 機能関連

  3. 周波数プリセットのしかた

    1. FM または AM 放送受信状態にします。

    2. [同調ノブ] を押すと、すぐ上にある [MEMORY] ランプが点灯するので、点灯中にどれかのプリセットボタンを押せばプリセット完了です。 FM 受信中なら FM のプリセットボタンを、AM 受信中なら AM のプリセットボタンを押します。

  4. 端子類

  5. 受信性能&音質

  6. その他



仕様&その他

  1. Service Manual

  2. 仕様は以下です。

    FM チューナー部  
    受信周波数範囲 76〜90MHz (0.1MHz step)
    S/N=50dB 感度 3.5uV / 16.1dBf (MONO)
    45uV / 38.3dBf (STEREO)
    実用感度 1.8uV / 10.3dBf
    選択度 75dB (300kHz)
    80dB (400kHz)
    キャプチャレシオ 1.0dB
    AM 抑圧比 54dB
    イメージ妨害比 80dB
    スプリアス妨害比 90dB
    S/N 比 75dB (MONO)
    70dB (STEREO)
    高調波歪率 (1kHz) 0.1% (MONO)
    0.2% (STEREO)
    ステレオセパレーション (1kHz) 45dB
    周波数特性 30Hz〜15kHz +0.5dB/-2.0dB
    ミューティングレベル 5uV
    IF 10.7MHz
    アンテナ 75Ω不平衡型
    300Ω平衡型
    AM チューナー部  
    受信周波数範囲 522〜1602kHz (1kHz step)
    実用感度 (1,000kHz) 250uV (バーアンテナ)
    100uV (外部ワイヤアンテナ)
    選択度 50dB (9kHz)
    S/N 比 52dB (50mV/m)
    高調波歪率 0.3% (50mV/m, 400Hz)
    IF 450kHz
    アンテナ バーアンテナ
    外部ワイヤアンテナ
    総合  
    出力レベル/インピーダンス 450mV/4.7kΩ (FM 100% 変調)
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力 (電気用品取締法) 26W
    外形寸法 430(W)×135(H)×315(D)mm
    重量 5.7kg
    その他  
    発売時期 1979年 (推定)
    定価 不明