Accuphase T-107

Accuphase T-107 をゲット!

DGL 検波 が特長の FM 専用シンセサイザーチューナです。

2009年8月28日、 Accuphase T-107 の中古・不動作品を12,990円で購入しました。 Accuphase T-107 は製造後20年以上経過していますが、いまだに人気が高く、中古・動作品なら6万円以上が相場です。 こんな値段ではとても手が出ません。 そこで、不動作品を狙い、相場の1/5で入手できました。

不動作品と言っても結構な価格なので、直せるかどうか事前に検討していました。 カタログ に基板の写真が載っており、これを見ると割とシンプルな構成で修理しやすそうと思いました。

リサイクル店の表示は以下でした ・・・ 正直で好感が持てます ・・・ 感心している場合か!?

  1. 通電し、針は振れますがディスプレイに何も表示されず何の音もしませんでした。

  2. 各ボタンを押してもランプが点きません。

  3. メータのライトは点灯します。

  4. その他の細かな確認はしておりません。

  5. 汚れや擦り傷、ボタン部分のくすみ等ございます。

  6. このような状態の為、ジャンク品扱いです。 保証はありません。



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



Accuphase チューナの変遷

  1. Accuphase チューナを発売順に並べてみました。

    発売時期
    (年-月)
    型名 定価
    (円)
    Analog
    Digital
    バンド 検波方式 同調ノブ
    の有無
    寸法 W×H×D
    (mm)
    質量
    (kg)
    1973-09 T-100 155,000 A FM/AM Ratio 445×160×355 14.0
    1974-05 T-101 110,000 A FM Ratio 455×152×355 11.1
    1978-10 T-104 250,000 D FM QR 466×188×391 14.1
    1979-01 T-103 150,000 A FM QR 445×128×370 10.0
    1980-10 T-105 120,000 D FM QR 445×128×370 8.4
    1984-01 T-106 145,000 D FM/AM DGL 466×153×385 9.0
    1985-07 T-107 99,800 D FM DGL × 445×107×330 5.8
    1990-03 T-11 120,000 D FM DGL 445×95×325 9.3
    1990-04 T-108 120,000 D FM DGL 475×115×351 9.4
    1993-12 T-109 150,000 D FM Advanced DGL 475×140×402 9.5
    1999-05 T-109V 170,000 D FM Advanced DGL 475×140×402 9.5
    2005-07 T-1000 280,000 D FM Advanced DGL 465×140×402 11.8

  2. T-107 の位置付けですが、定価が一番安く、質量も一番軽いです。 寸法は2番目です。

  3. T-107 は Accuphase のチューナで唯一、ご自慢の同調ノブがありません。

  4. T-107 は FM/AM チューナの Accuphase T-106 から AM 部を取り去って FM 専用機にしたような構成です。 FM フロントエンドも同一です。 FM 専用に使う方なら T-107 のほうがパフォーマンスが良いです。

  5. Accuphase チューナとしては一番安いですが付加機能を省略しただけのようで、 TIC でも「T-1000 以前では最高かも」と書かれています。

  6. 以上より、T-107 は歴代の最安値ですが Accuphase らしさはシッカリ保持している機種ではないかと思います。 シンプルな構成なのでメンテナンス性が良いことも評価したいです。



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは非常に良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています。


  3. FM フロントエンド

  4. FM IF 部

  5. DGL 検波部

  6. MPX 部

  7. その他



修理&クリーニング

  1. 状況からみた見立て

  2. 調査

  3. 修理

  4. ボタンのくすみ等はクリーニングで新品同様のピカピカ状態に復帰しました。 端子のくすみはマイクロ研磨でピカピカ状態に復帰しました。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

  2. 電圧チェック

    ポイント 標準値 実測値 (参考) 備考
    [78M05] OUT +5.6V +5.64V MCU 用
    [78M15] OUT +15V +15.02V チューナ用

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 T-107 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - MUTING : OFF
    FILTER : OFF
    - -  
    2 - - 76MHz 受信 フロントエンド内
    OSC コイル
    J138 電圧 = 3.0V  
    3 - - 90MHz 受信 フロントエンド内
    OSC トリマ
    J138 電圧 = 20.0V  
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す VT トラッキング調整
    5 - - 76MHz 受信 フロントエンド内
    OSC Buffer コイル
    フロントエンド内 TP 波形 = 最大 シンクロスコープで観測
    6 - - 90MHz 受信 フロントエンド内
    OSC Buffer トリマ
    フロントエンド内 TP 波形 = 最大 シンクロスコープで観測
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す OSC Buffer トラッキング調整
    8 76MHz 30dB
    変調 : OFF
    76MHz 受信
    SELECTIVITY = NARROW
    フロントエンド内
    RF コイル×4
    S メータ = 最大  
    9 90MHz 30dB
    変調 : OFF
    90MHz 受信
    SELECTIVITY = NARROW
    フロントエンド内
    RF トリマ×4
    S メータ = 最大  
    10 - - - - 手順8と9を数回繰り返す RF トラッキング調整
    11 83MHz 30dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    SELECTIVITY = NARROW
    フロントエンド内
    IFT
    S メータ = 最大 IF 調整
    12 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    SELECTIVITY = NARROW
    T2 D8 リア側電圧 = 0V FM 同調点調整
    0V 範囲のちょうど真中に合わせる
    13 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    SELECTIVITY = NARROW
    T1 [TA7310P(IC5)] 7pin 波形 = 最大 2nd IF 調整
    シンクロスコープで観測
    14 83MHz 60dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    SELECTIVITY = NORMAL/NARROW
    VR1 S メータ = NORMAL/NARROW で同一の振れ NARROW GAIN 調整
    15 83MHz 20dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    SELECTIVITY = NORMAL
    VR2 S メータ = 20  
    16 83MHz 100dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    SELECTIVITY = NORMAL
    VR3 S メータ = 100  
    17 - - - - 手順15と16を数回繰り返す S メータ調整
    18 83MHz 20/21dB
    変調 : mono 100%
    83MHz 受信
    SELECTIVITY = NORMAL
    VR4 MUTING = ON MUTING レベル調整
    ・20dB で MUTING ON
    ・21dB で MUTING OFF

  4. MPX 部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 T-107 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - MUTING : ON
    FILTER : OFF
    SELECTIVITY : NORMAL
    - -  
    2 83MHz 90dB
    変調 : stereo 1kHz
    83MHz 受信 フロントエンド内
    IFT
    オーディオ出力電圧 = 高調波歪率最小 IF 歪調整
    ±90度の範囲で調整
    3 83MHz 90dB
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    83MHz 受信 VR5 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整

  5. 調整結果

    1. 調整ズレはほぼありませんでした。 優秀です。

    2. FM ステレオセパレーションなどは以下となりました。 素晴らしいということではないですが、問題ない数値です。

      項目 SELECTIVITY L R 単位
      ステレオセパレーション NORMAL 50 50 dB
      ステレオセパレーション NARROW 22 21 dB
      パイロット信号キャリアリーク - -81 -81 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (MONO) - 0 +0.03 dB



使ってみました

  1. フロントパネル

  2. リアパネル他

  3. 機能関連

  4. 音質&感度

  5. メインオーディオシステムに組み込みました



仕様&その他