パルスカウント検波とは?
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1976年、初めてパルスカウント検波を採用した TRIO KT-9700 (定価\150,000 1976年発売) の紹介記事に、その動作説明がありました。
これを読むと回路屋だったら、回路イメージが十分描けます。
結局、パルスカウント検波というのは FM 波を PWM 信号と見たてて積分する方式のようです。
こうなると、単安定マルチ回路の時定数の選択と安定性が大きく性能に影響すると思います。
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FM 検波部には、パルスカウント方式とダブルコンバート方式を採用し、優れた性能を実現しています。
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パルスカウント方式は、
FM 波をリミッターを通して方形波に変換し、微分回路を通して得たパルスで単安定マルチ回路をトリガーし、パルス幅の等しい出力を得て、これを積分回路にかけて復調信号を取り出す
というものです。
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従来のインダクタンスとコンデンサーによる検波回路に比べ、直線性に優れ 3.92MHz(=1.96MHz×2) の広帯域にわたって直線検波が可能です。
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このパルスカウント方式に合わせ、10.7MHz の第1 IF に加えて、感度・選択度の向上と相互干渉の低減が狙え安定した増幅が可能となる 1.96MHz の第2 IF(中間周波数)を設けたダブルコンバート方式が採用されていました。
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約10倍の周波数特性が要求されるパルスカウント方式のパルス変換が容易になり、相対周波数偏移が大きくなることで、検波効率が上がるという効果もあります。
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パルスカウント検波は測定器にも使われるほど、直線性に優れた検波方式です。
ただし、理想的に動けばという条件が付きます。
上記の説明は良いところだけを強調した説明です。
以下の欠点も併せ持っています。
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パルスカウント検波では基本周波数からの周波数変化率をダイレクトに積分して音声に変換するので、
基本周波数を下げないと周波数変化率が大きく取れない=S/N が上がらない
となるのです。
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KENWOOD のパルスカウント検波では基本周波数数を 1.96MHz にしていますが、Pioneer では更に下げた 1.26MHz にして S/N を稼ごうという魂胆です。
この辺りが下げられる限界に近いです。
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基本周波数を変換する過程で周波数の揺らぎが発生する=歪が発生する
のが、当時のパルスカウント検波の弱点です。
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TRIO/KENWOOD のパルスカウント検波
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次第に IC 化されて構成が変化しましたが、基本的な考えかたに変化はありません。
10.7MHz の IF 周波数を 8.74MHz の周波数と混合し、差分の 1.96MHz を作り出して、これをパルスカウント検波するものです。
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パルスカウント検波部の構成をダウンコンバート回路中心に [T-METER] [S-METER] 回路も含めて大きくとらえます。
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第1世代 ・・・ 全てディスクリートで構成
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ダウンコンバート回路はディスクリート。
10.7MHz の IF 周波数を水晶発振させた 8.47MHz と混合し 1.96MHz にダウンコンバート。
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パルスカウント検波回路はディスクリート。
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[S-METER] は、IF アンプ部より電波強度信号を抽出し LOG アンプを経由して出力。
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[T-METER] は、パルスカウント検波回路部より抽出して出力。
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第2世代 ・・・ 一部専用 IC 化
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ダウンコンバート回路を
MC1496N
を使って IC 化。
10.7MHz の IF 周波数を LC 発振させた 8.47MHz と混合し 1.96MHz にダウンコンバート。
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水晶発信から LC 発信に変更されましたが、少しくらい 1.96MHz から外れても問題ないので、性能的には大丈夫でしょう。
ただし、経年変化を考えると5年に一度くらいは再調整したほうがよいでしょう。
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パルスカウント検波回路を TR4010A を使って IC 化。
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クォードラチュア検波 IC の HA1137W を設置。
[S-METER] [T-METER] は、この IC から抽出して出力。
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第3世代 ・・・ オール専用 IC 化
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この世代に相当する
KT-9X
を所有しています。
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ダウンコンバート回路とクォードラチュア検波回路を統合した TR7020 を使って IC 化。
10.7MHz の IF 周波数を LC 発振させた 8.47MHz と混合し 1.96MHz にダウンコンバート。
[S-METER] [T-METER] は、この IC から抽出して出力。
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パルスカウント検波回路を TR4011 を使って IC 化。
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かなりシンプルになり、コストダウンに貢献したと思います。
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Pioneer のパルスカウント検波
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手持ちのパルスカウントチュナーは
F-120
と
F-120D
です。
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構成は少し違いますが、基本的な考えかたに変化はありません。
10.7MHz の IF 周波数を2逓倍して 21.4MHz とし、これを 20.14MHz の周波数と混合し、差分の 1.26MHz を作り出して、これをパルスカウント検波するものです。
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パルスカウントする基本周波数が 1.26MHz と低く、周波数変化率も TRIO/KENWOOD の2倍となっているので、TRIO/KENWOOD よりも S/N が大きくとれます。
ただし、周波数変換する過程が多いので音質に悪影響あるかもしれません。
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パルスカウント検波部の構成をダウンコンバート回路中心に [T-METER] [S-METER] 回路も含めて大きくとらえます。
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F-120
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PA3007 でクォードラチュア検波し、[T-METER] 信号を出力。
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F-120 にはシグナルメータはありませんが、[S-METER] 回路はあります。
[S-METER] は、IF アンプ部より電波強度信号を抽出して出力。
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10.7MHz を2逓倍して 21.4MHz としてから、PA5001 で水晶発振させた 20.14MHz と混合し 1.26MHz にダウンコンバート。
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パルスカウント検波 IC は PA5002 です。
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F-120D
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PA5008 でクォードラチュア検波し、[T-METER] と [S-METER] 信号を出力。
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10.7MHz を2逓倍して 21.4MHz としてから、トレンジスタで水晶発振させた 20.14MHz と混合し 1.26MHz にダウンコンバート。
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パルスカウント検波 IC は PA5006 です。
PLL 検波とは?
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右図は PLL 検波の原理図です。
- FM 入力には通常 IF 周波数の 10.7MHz が使われます。
- VCO というのは電圧制御型発振回路のことで、10.7MHz 近辺の周波数で発振しています。
- 位相比較器というのは FM 入力周波数と VCO 発振周波数を比較して、そのズレの比較結果を±の電圧値で出力します。
- LPF というのはローパスフィルターです。
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周波数変調された FM 入力と VCO の周波数は常に位相比較されており、その比較結果は LPF を経て VCO に帰還されます。
この結果、VCO の周波数が常に FM 入力の周波数と一致するように制御されます。
その制御出力の電圧の変化が検波出力になります。
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PLL 検波はこのように原理が簡単なので特殊な部品も必要なく、簡単でコストが安く高性能な検波回路を構成しやすいです。
また、「リミッタを用いないスレショルド改善が可能」というメリットもあります。
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PLL 検波にも欠点があります。
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それは電圧−周波数変換に使われるバリキャップダイオードの直線性が悪いと検波の直線性も悪くなることです。
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欠点の解決方法について
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まずは直線性に優れたバリキャップダイオードを使う。
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更に直線性補正回路を制御ループ内に組み込む。
KENWOOD / TRiO でいう DLLD 回路がこれに相当します。
バリキャップ制御は直流(低周波)ですから、周波数が低いので補正は比較的やりやすいです。
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PLL 検波は、このページに記述した各種検波方式で唯一、フィードバック制御ができる方式です。
レシオ検波とは?
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右図はレシオ検波の原理図です。
真空管の時代から使われている古典的な検波回路です。
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ダイオードに特性の揃ったものが必要なことと、良い特性を出すには回路設計と調整が難しいです。
これの裏返しが欠点です。
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動作原理
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動作原理は、周波数の変化を振幅の変化した信号に変換した後 AM 復調する・・・です。
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ダイオード D1,D2 に加えられる電圧 e1,e2 は1次電圧 V1 と2次電圧 V2 の1/2が重なったもの、すなわち (b) 中の式のような電圧になります。
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この高周波電圧によってダイオード D1 の整流電流 I1 は C3 の両端に E1 の電圧を生じさせます。同様にC4の両端には、E2の電圧が生じます。
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R3 と R4 の両端には電流 I1,I2 により E1+E2 が現れますから、R3 と R4 の両端は (E1+E2)/2 の電圧となります。
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ここでディスクリミネータの同調周波数を fo、入力周波数を f とすると、右の式が成立し、周波数特性は (c) のような S 字特性となります。
フォスター・シーレー検波とは?
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右図はフォスター・シーレー検波の原理図です。
真空管の時代から使われている古典的な検波回路です。
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ダイオードに特性の揃ったものが必要なことと、良い特性を出すには回路設計と調整が難しいです。
これの裏返しが欠点です。
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動作原理
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動作原理は、周波数の変化を振幅の変化した信号に変換した後 AM 復調する・・・です。
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L3 のリアクタンスが Co, C3, C4 より十分大きいため、Co, L3, C4 の直列回路を考えると、L3 の端子電圧は、ほぼ入力電圧 Vi に等しくなります。
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トランスの2次側 L2 に誘起される電圧 e2 は中点で2分され、ea, eb は次式となります。
ea = Vi + e2/2
eb = Vi + e2/2
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D1, D2 により整流された電圧 ea, eb の差が出力 Vo となります。
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この2次側において、L2, Co の共振周波数を f0、入力信号の周波数を f とすると、以下のようになります。
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f = f0
ea = eb なので Vo = 0
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f > f0
2次回路は誘導性となり、ea > eb なので Vo > 0
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f < f0
2次回路は容量性となり、ea < eb なので Vo < 0
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このように、入力信号の周波数が高くなると出力電圧が正に増加、周波数が低くなると負に増加する特性を得ます。
故に、周波数の変化から振幅の変化を得ます。
クォードラチュア検波とは?
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右図はクォードラチュア検波の原理図です。
この検波方式はもともとテレビの音声の検波器として開発されたものです。
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位相回路には一般的にはコイルが使用されますが、良い特性を出すには回路設計と調整が難しいです。
これの裏返しが欠点です。
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動作原理
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動作原理は、周波数の変化をパルス幅の変化した信号に変換した後、積分して復調する・・・です。
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この検波方式は位相特性を利用したもので、マルチプライヤの一方の入力に FM 波の信号を直接加え、他方の入力には、位相回路と FM IF の周波数に同調したタンク回路を通した信号を加えます。
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(b) (c) に示したように e1 と位相器を通った e2 との間の位相差により、出力 IL のパルス幅が変化します。
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これをローパスフィルタを通すことにより平均値が変化し、位相検波を行います。