Nakamichi Tuner 2

Nakamichi Tuner 2 をゲット！

2008年10月16日、私のチューナーページのファンから Nakamichi Tuner 2 の寄贈を受けました。

FM 専用機 で、ゾクッとするデザインの良さを感じます。

この機種はオークション等でもほとんど見かけることはなく、 希少品 の部類と思います。 Nakamichi ファン感涙の逸品でしょう。

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程度＆動作チェック

1. 外観
   
   
   • 全体にかなり綺麗です。 キズはほぼなく良い状態です。 端子類にサビは出ていません。
     
     
2. 電源 ON してチェック
   
   
   • 表示器の輝度は全く問題なく良好です。 ロータリノブ及びボタンの操作は正常にできます。
     
     
   • ステレオ受信できましたが、感度の低下を感じます。
     
     

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カバーを開けてみました

1. 作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。
   
   
   • 剛性のあるしっかりしたケースなので、中身の豪華さを期待しましたが、たったこれだけです。
     
     
   • 底板部に点検蓋がありませんが、基板が小さいのでメンテナンスはなんとかなります。
     
     
   • 基板に押されていた検査合格印より、本機は [1992年2月5日] 製造品と判りました。
     
     
   • 以下の IC を使用して合理化が図られています
     
     

     メーカ	IC	機能
     NEC	uPC4570C	Dual Ultra Low-Noise, WideBand, Operational Amplifier
     	uPD75216CW	MCU
     SANYO	LA1235	FM IF System
     	LA3450	PLL FM MPX Stereo Demodulator with Adjustment-Free VCO and Measure Against Adjacent Channel Interference
     	LB1413N	5-Dot Red/Green LED level Meter
     	LC7218	PLL Frequency Synthesizer
     TOSHIBA	TA7060AP	FM IF Amplifier

     
     
2. フロントエンド
   
   
   • ミツミ製で3連バリキャップ方式です。 以下の構成です。
     
     (ANT)→[同調]→[FET]→[同調]→�@→[ミクサ (TR)]→(IF)
     [OSC 同調 (TR×2+FET)]→�@
     
     
   • トラッキング調整はコイルだけの1点調整になります。
     
     
3. IF 部
   
   
   • Wide 時
     
     (FE)→[FET]→[CF101]→[TR]→ [CF102] →[TA70060AP]→[CF105]→[LA1235]→(MPX)
     
     
   • Narrow 時
     
     (FE)→[FET]→[CF101]→[TR]→ [CF103]→[CF104]→[TR] →[TA70060AP]→[CF105]→[LA1235]→(MPX)
     
     
   • [S メータ] [T メータ] 抽出は [LA1235] で行います。
     
     
4. 検波部
   
   
   • [LA1235] を使ったクォードラチュア検波です。
     
     
5. MPX 部
   
   
   • 優秀な [LA3450] を使用しており、セパレーション調整は Wide/Narrow 別々に調整できます。
     
     
6. プリセットメモリのバックアップ
   
   
   • [B601] 1次コイン電池で記憶保持します。 おそらく20年くらい持つのではないかと思います。
     
     
   • タブ付きコイン電池で、タブを基板にハンダ付けしているのでユーザ交換は無理です。
     
     
   • 回路図では [LR2430FT] と明示されていましたが、実際には [CR2430FT] が実装されていました。
     
     
   • [LR2430FT] という製品はなく、[CR2430FT] が正しいです。 [L] と [C] は字の形が似ている？？？
     
     

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調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

　　

1. 電源電圧チェックポイント (VP)
   
   

   VP	標準電圧	実測電圧	判定
   J40	+13V	(未測定)	-
   J52	-13V	(未測定)	-
   CP102-2pin	-30V	(未測定)	-
   CP102-4pin	+5.6V	(未測定)	-

   
   
2. FM 受信部の調整
   
   
   

   手順	SSG出力	Tuner 2 の設定	調整箇所	TP 及び調整値	備考
   1	-	Mute : Off Mode : Stereo IF Band : Wide	-	-
   2	-	90MHz 受信	フロントエンド OSC コイル	R303 (前) 電圧 = 8.0V	OSC トラッキング調整
   3	-	76MHz 受信	-	R303 (前) 電圧 = 1.6V 確認のみ
   4	83MHz 30dB 無変調	83MHz 受信	フロントエンド RF コイル×2個	J77 電圧 = 最大	RF トラッキング調整
   5			フロントエンド IFT		IF 調整
   6	83MHz 90dB mono 1kHz	83MHz 受信	VT102	オーディオ出力 = 高調波歪最小	QR 検波調整
   7			VT101	TP102 間電圧 = 0±10mV
   8	手順6〜7を数回繰り返す
   9	83MHz 90dB stereo 1kHz L+R	83MHz 受信	フロントエンド IFT	オーディオ出力 = 高調波歪最小	stereo IF 歪補正
   10	83MHz 90dB stereo 1kHz R	83MHz 受信	VR203	オーディオ出力 (L) = 最小	Wide セパレーション調整
   11	83MHz 90dB stereo 1kHz L		VR204	オーディオ出力 (R) = 最小
   12	83MHz 90dB stereo 1kHz R	83MHz 受信 IF Band : Narrow	VR201	オーディオ出力 (L) = 最小	Narrow セパレーション調整
   13	83MHz 90dB stereo 1kHz L		VR202	オーディオ出力 (R) = 最小
   14	83MHz 25dB mono 1kHz	83MHz 受信 Mute : On IF Band : Wide	VR101	オーディオ出力 = ON/OFF 閾	MUTING レベル調整
   15	83MHz 50dB 無変調		VR102	S メータ = フル 閾	S メータ調整

   
   
3. 再調整結果
   
   
   • フロントエンドに少し調整ズレがありました。 再調整で感度アップしました。
     
     
   • クォードラチュア検波の NULL 調整が大きくズレていました。
     
     
   • ステレオセパレーションとキャリアリークは以下となりました。
     
     
   • Wide/Narrow とも素晴らしい数字です。 やはり LA3450 の威力 でしょう。
     
     

     項目	IF Band	stereo/mono	L	R	単位
     ステレオセパレーション (1kHz)	Wide	stereo	68	73	dB
     	Narrow		74	60	dB
     パイロット信号キャリアリーク	Wide	stereo	-57	-60	dB
     オーディオ出力レベル偏差	Wide	mono	0	0	dB

     
     

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使ってみました

1. デザイン
   
   
   • ケース全体の作りが良いです。
     
     
   • 左右対称で既成概念にとらわれないデザインです。
     
     
   • 何なのか判らない不思議な雰囲気があります。
     
     
   • 日本製品でないような秀逸なデザインです。 Nakamichi ファン感涙の逸品でしょう。
     
     
   • フロントパネルは黒の梨地仕上げのアルミ材を使っており、重厚感があります。
     
     
   • 表示器は薄黄色がかった FL 管で、その表示は上品です。
     
     
   • ステーションメモリは、[A] [B] [C] シフトで30局分もあります。 FM 専用機ですから十分過ぎです。
     
     
   • 3つのチューニング機構が装備されています。 通信機みたいで好感が持てます。
     
     
     1. 左ノブを回すとプリセットチューニング
        
        
     2. 右ノブを回すとマニュアルチューニング
        
        
     3. 右ノブのすぐ左にあるボタンでオートチューニング
        
        
   • ノブは一般のチューナのような軽くクルクル回るものではなく、カチッカチッとクリック感のあるものです。
     
     
     • アナログチューナのチューニングノブを真似たチューナが多い中、独自性ある機構です。 やはり Nakamichi ですね。
       
       
     • プリセットチューニングノブは何かの懐かしさを思い出す・・・さて、何だろう？
       
       
       • 昔のテレビのチャンネルです。 あのガチャガチャと回したあれです。 もっと高級感のあるクリックですが。
         
         
     • マニュアルチューニングノブは、プリセットチューニングノブよりもクリック数が多く、少し軽く回ります。
       
       
   • FM アンテナ入力は F 端子で妨害電波が混入しないです。
     
     
2. 受信性能
   
   
   • 3連バリキャップフロントエンドに関わらず、感度と妨害電波排除能力は良好です。
     
     
     • 4連バリキャップ以上には負けると思いますが、十分な感じです。
       
       
     • IF 部はユニフェーズを含め CF を5個も使っており、高級クラスに近い構成です。
       
       
     • 今まで触ってきた3連バリキャップのチューナーの中では間違いなくトップの性能です。
       
       
   • 音質は安定感のある明瞭だけれどソフトな音です。 なかなか良好な音です。
     
     
     • クォードラチュア検波は基本的に無難な音がします。 欠点は S/N が取れないことと、経年変化に弱いことです。
       
       
     • 定期的なメンテナンス（再調整）が必須で、実施すると音質が蘇ります。
       
       
3. 総合評価
   
   
   • デザイン、性能、音質ともにお奨めできるチューナ です。
     
     

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レベルメータ

• FM アンテナ入力レベルとレベルメータの振れの相関関係を測定してみました。 1〜5 とあるのはレベル表示、×が消灯、○は点灯です。
  
  
• これを見ると、S/N 良く受信するためには、フルレベルの必要があるようです。
  
  

  アンテナ入力 (dB)	1	2	3	4	5
  〜0	×	×	×	×	×
  1〜14	○	×	×	×	×
  15〜24	○	○	×	×	×
  25〜39	○	○	○	×	×
  40〜46	○	○	○	○	×
  47〜	○	○	○	○	○

  
  

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仕様など

1. ドキュメント
   
   
   • Tuner 2 取扱説明書
     
     
   • Nakamichi ST-2 Service Manual ・・・ 輸出版 ST-2、Tuner 2 と外観は少し違うが回路や機能はほぼ同じ
     
     
2. 仕様
   
   

   FM 受信部
   受信周波数範囲	76〜90MHz
   実用感度 (75Ω)	mono : 0.97uV / 11dBf
   S/N 比 50dB 感度	mono : 1.73uV / 16dBf stereo : 24.4uV / 39dBf
   実効選択度	70dB 以上
   S/N 比	mono : 77dB stereo : 71dB
   全高調波歪率	mono : 0.08% 以下 stereo : 0.1% 以下
   ステレオセパレーション	50dB 以上
   周波数特性	20Hz〜15kHz ±1dB
   総合
   電源電圧	AC100V, 50/60Hz
   消費電力	8W
   外形寸法	430(W)×75(H)×320(D)mm
   重量	4.2kg
   その他
   発売時期	1991年
   定価	49,800円

   
   

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